暑くなってまいりましたが、いかがお過ごしですか？(2011/07/12)

 

　こんにちは。

　大分暑くなってまいりましたが、

　皆様いかがお過ごしでしょうか？

　

　高知は梅雨も明け夏本番となってきました。

 

　私は南国育ちのため暑さには滅法強いので,

  扇風機とスイカでもあれば生活をする分には困りはしないのですが、

  反面寒さには弱く冬は熱源にしがみついて暮らしております。

 

  以前、会社に勤めていた時は長崎の佐世保、愛媛の松山に住んでいたことがありましたが、

  遊びの旅行はともかく私が生活可能な北限は、愛媛県辺りが限界だと感じました。

 

　さて、私の主戦場のビニールハウスですが、７月の頭をもって綺麗さっぱりになりました。

　これより来年度にむけて準備が始まります。

 

　ナスはまず水を掛けるためのパイプを外してハウス外に出し、

　次いでナスを根本から刈り倒します。

　

  

　この時、ナスを支える糸をナスの株本で切っておきます。

 

　ナスを切り倒した後は糸を回収します。

　糸が地面に残っているとトラクターで耕運する際にローターに絡まり故障の原因になる事と、

  現在使用しているクレモナ糸は石油製品であるため分解されずにずっと残ってしまうからです。

 

　糸を回収したらハウス内全体をトラクターで鋤きます。

 

  

　切り倒したナスはそのまま地中に叩き込みます。

　かつては切り倒したナスはハウス外に運び出し、自分の所有地に

　「放棄するか」もしくは「焼くか」していました。

　

　焼くというやり方は今では規制が厳しくなりましたので見ることはありませんが、

　放棄する人は今でも見かけることがあります。

　

　また危険な病害が発生した場合にもハウス外に出すことがあります。

　現在の様に切り倒したナスを有機資材（肥料）として埋め込むようになったのは、

　４０年以上前の事で私の祖父が始めた事と聞いています。

 

　次にハウス内に水を回します。

 

 

  これは土壌還元消毒法と呼ばれるもので、太陽熱と水、糖蜜や米糠などの有機物による

　殺虫、殺菌の方法です。

　

　太陽熱で温められた水中で有機物をえさとする微生物が爆発的に増加します。

  急速に増えた微生物は大量の酸素を消費し、水によって蓋がなされているために

　無酸素状態となり土壌は還元状態に移行します。

  

　土中の病害虫の殆どは酸素を消費して生存しているため、

　還元状態の土壌では死滅したり増殖が抑制されたりします。

  

　また、還元状態の土壌で発生する酢酸などの有機酸による殺菌効果も併せて期待でき、

  極力農薬を使わない環境保全型の農業を続ける上で重要な工程となっています。

　

　以前は酒造会社からほぼ無料で譲り受けることができた米糠も、

　肥料としての需要が高まり、高騰。

   次いで安価な資材として利用されてきた小麦のふすまも米糠と同じ位に高騰してきており、

　手間も含めてこの工程を省く農家も増えています。

 

　ここまでが現時点でのハウスの状況になります。　

  この後、もう少し還元状態を維持し次の工程へと移っていくことになります。

 

　少しマニアックな話になってしまいましたが、大丈夫でしょうか？（笑）　

 

　冒頭、私は暑さに強いので生活には困らないとは申しましたが農作業は別です。

   朝も１０時を過ぎると暑すぎて作業もままならなくなります。

　無理に作業を続けても能率が上がらなければ効率が悪いだけでなく、 

　下手をすれば熱中症で倒れます。

 

  朝は早くから作業を始め、日中は休み、日が落ち始めたら日が沈むまで作業する毎日です。

　高知は暑いながらもまだ過ごせる暑さですが、都会はきっとまた別次元の暑さでしょう。

  

　特に震災の影響による節電が声高に求められる昨今、今年は厳しい夏となるかもしれません。

  しかし人は電気の無い時代から知恵を絞って切り抜けてきました。

  

　暑いときはむしろ暖かい飲み物を飲む、きゅうりやスイカで内側から体を冷やす、

　グリーンカーテン、打ち水。

 

　先人の知恵と創意工夫でこの夏を乗り切りましょう！

 

　平成２３年７月初旬

 

　高知県安芸市

　小松　弘延